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SMART ECO-TOWNS サステナブルな街 コペンハーゲン(デンマーク)

運河に沿ってカラフルな建物が軒を連ねるニューハウン。1673年に完成した港で、北欧を代表する観光スポットとして人気の場所。建築物保護法による保存地区に指定されており、すべての建物は歴史的外観を保持している。

写真提供:www.caecacph.com Jacob Schjørring & Simon Lau

街

サステナブルな街 特集

世界初のカーボンニュートラルな首都を目指して【前編】

後編:世界初のカーボンニュートラルな首都を目指して【後編】

コペンハーゲン(デンマーク)

2016.03.31

デンマークの首都コペンハーゲンは、環境配慮の精神が根付くサステナブルな街として注目されています。歴史的な街並みが保存されるなど、古いものを大切にしながらも、最先端のシステムを取り入れているコペンハーゲン。

ここに住む人たちは、どんな暮らしをしているのでしょうか?

国をあげて進むサステナブルな取り組み

デンマークの幸せな暮らしを象徴する首都コペンハーゲン

国連が実施する世界幸福度調査で常に上位をキープしているデンマーク。高税率国ですが、手厚い社会福祉制度を実現する国として知られるほか、2050年までにエネルギー供給の100%を再生可能エネルギーで賄うという高い目標を掲げ、世界をリードしています。

首都コペンハーゲンでも、2025年までに世界初のカーボンニュートラル(※1)な首都を目指して、さまざまな分野で意欲的な取り組みを進めています。

ここで注目したいのは、ただ単にカーボンニュートラルを目指すのではなく、持続可能な成長と開発、さらに市民の生活の質の追求も同時に行っていこうという姿勢です。都市部における自然との共存や、安心して暮らせる地域づくりを進めるための取り組みも大切なテーマとされています。

※1 カーボンニュートラル:排出される二酸化炭素を自然エネルギーの導入などによって相殺すること。

都市としての自然エネルギーの活用

ロラン島に建設された風車。コペンハーゲンにグリーン電力を供給している。

写真提供:ニールセン北村朋子

カーボンニュートラルな首都を目指すコペンハーゲンでは、2012年に『CPH2025気候プラン』を策定し、2025年までにカーボンニュートラルになるための具体策を公表しました。

例えば、風力発電や太陽光発電の活用、全市にほぼ普及している地域暖房に続いて、地域冷房(※2)の導入、バイオガスで走るバスの導入、建築物や住宅のエネルギー改修など、さまざまな取り組みが行われています。

コペンハーゲン沖にあるミドルグロン洋上風力発電パークには20基の風車があり、10基がコペンハーゲン市民などが出資する共同組合の所有、残りの10基が電力会社の所有で、年間合計約99GWを発電しています。

また、都市部に大型風車を建てることは不可能なため、ここ数年は地方自治体や農家と提携し、都市で使うグリーン電力生産を、地方に風車を建てることで実現しています。こうして、都市と地方との共生に新たなかたちが生まれているのです。

※2 地域暖房・地域冷房:1か所の暖房・冷房設備から多くの建物に暖房・冷房用熱源を供給する方式。

自転車に乗りたくなる街づくり

世界で一番のサイクリスト・シティを目指して

市民の健康増進や環境配慮の観点から、「世界で一番自転車にやさしい街」になろうと歩みを続けてきたコペンハーゲン。同市の2014年の『自転車会計』 によると、コペンハーゲン市内に通勤通学する人のうち45%が 、また、コペンハーゲン市民で市内に通勤通学する人のうち63%が自転車を利用しています。

市内で自転車に乗る人々。一年を通して、通勤通学は自転車が主流になりつつある。

写真提供:Ty Stange

こうした背景には、自転車インフラの充実があげられます。2005年以来、コペンハーゲン市が自転車関連事業に費やした金額は約180億円(※3)。約350kmにおよぶ自転車専用道路や専用信号に加え、港の上を走れる高架式自転車専用道路が開通。

さらに、通勤の時間帯は時速20kmで走行すると赤信号にかかることなくスムーズに走れるよう制御されたグリーンウェーブというシステムのほか、自転車から捨てやすいように斜めに傾いたゴミ箱を自転車道沿いに設置するなど、工夫が随所にほどこされています。

また、小学校で自転車に乗るための交通ルールや手信号を習い、しっかりとそれが根付いていることも、安全に楽しく自転車に乗れる、自転車に乗りたくなる街づくりに大いに貢献しています。

コペンハーゲンでは、大きなかごのついた三輪車に子どもを乗せて走る姿をよく見かける。

写真提供:Tuala Hjarnø

市内数カ所に設置された、日ごと・年間の自転車利用者数を表示するパネル。

写真提供:ニールセン北村朋子

“The Bicycle Snake”と呼ばれる高架式の自転車専用道路。

写真提供:Thomas Højrup Christensen

※3 出典:Københavns Kommune C

2015年9月発行 冊子「SUSTAINABLE JOURNEY」vol.3(ecomom秋号同封)より転載
ライター:ニールセン北村朋子

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