Special Interview スペシャルインタビュー サステナブルな人 一般社団法人エシカル協会 代表理事 末吉里花さん

人

サステナブルな人 スペシャルインタビュー

エシカル消費を実践すれば誰もがサステナブルな社会づくりに貢献できる
~エシカル協会 代表理事 末吉里花さん~

関連:エシカルとは?エシカル消費の押さえておきたい4つのポイント!

2018.03.26

一般社団法人エシカル協会 代表理事として、人・社会・地球環境へ配慮した「エシカル」な消費行動やライフスタイルの普及に取り組んでいる末吉里花さん。エシカルに目覚めたきっかけからエシカル消費の実践方法、そしてエシカル消費を通したサステナブルな社会の実現への貢献などについて、お話を伺いました。

末吉里花(すえよし・りか)

一般社団法人エシカル協会代表理事。TBS系『世界ふしぎ発見!』のミステリーハンターとして世界各地を旅した経験を持つ。フェアトレードやエシカルを中心に活動を展開し、日本全国の企業や自治体、教育機関などで講演、各地のイベントでトークショーを行う。著書に『祈る子どもたち』(太田出版)。新刊『はじめてのエシカル』(山川出版社)。消費者庁「倫理的消費」調査研究会委員(2015.5〜2017.3)、東京都消費生活対策審議会委員、一般社団法人日本エシカル推進協議会理事、一般社団法人日本サステナブル・ラベル協会理事。

きっかけはキリマンジャロの山頂で見た「氷河の消失」だった

―― 末吉さんがエシカル消費に目覚めたきっかけから伺えますか。

社会に出てから数年はどこにでもいるような20代の女性で、エコロジーやフェアトレードといったテーマへの関心は高くありませんでした。そんな私が「目覚めた」きっかけは、仕事やプライベートで70カ国以上を訪れた中で、「この世界は一部の力を持った人たちの利益のために、多くの弱い立場の人や美しい自然が犠牲にされる構造になっている」ということが見えてきたことにあります。

特に心を動かされたのは、2004年に登頂した(アフリカ最高峰の)キリマンジャロでした。キリマンジャロの頂上には、氷河が横たわっています。しかし当時、科学者の間でそれが、「2010~2020年の間に(地球の温暖化で)すべて溶けてしまうだろう」と言われていたのです。氷河の現状をこの目で確認することが、私たちの登頂の目的でした。

登頂の途中で訪れた標高1,900m地点にある小学校で、小さな子どもたちが一本ずつ、祈りながら植林活動をしていました。「どうか再び、氷河が大きくなりますように」と――。氷河の雪解け水の一部は彼らの生活用水になります。氷河が溶けてしまうことは、死活問題なのです。そして私たちは子どもたちに「自分たちはあんな高い山は登れないから、代わりにお姉ちゃん行って見てきてね!」と背中を押され、登り切りました。

実際に目にした光景は非常にショッキングなものでした。氷河はごくわずかしか残っていなかったのです。私たちが生きていくための経済活動が、回り回って遠いアフリカの人々の生命を脅かしているのではないか――。そう考えたら、いてもたってもいられなくなりました。私たちの知らない場所で起きていることを日本の人たちに伝え、自分自身で何か解決につながる活動がしたい。そう強く思いながらキリマンジャロから下りてきました。

末吉さんの大きな転機となった、2004年のキリマンジャロ登頂。山頂の氷河の消失に大きなショックを受けた。

―― その想いからエシカル協会を立ち上げるまでに、どのような経緯があったのでしょうか。

なにか自分ができることをしたいと強く思いつつも、環境問題は非常に幅が広く、解決すべき課題もきりがないくらいあります。「個人的に何かをやったとして、そこに意味はあるのだろうか」と、当初は非常に悩みました。そんなとき出会ったのがサフィア・ミニーさんというイギリス人女性でした。

彼女は日本で、「ファッションで世界を変える」というスローガンのもとにオーガニック/フェアトレード商品が手に入るブランドを立ち上げた方です。私自身ファッションが好きだったこともあり、サフィアさんのお話はとても強く胸に響きました。「私も、自分の関心分野から始めたらいいのではないか」――。それが私にとっての「入り口」になったのです。

以来私は、一個人としてフェアトレードの普及活動に取り組んできました。その後2010年にフェアトレードについて伝えていく「案内人」を増やしたいと考え、「フェアトレード・コンシェルジュ講座」を立ち上げたのです。

そして5年にわたり毎回50人近い方に参加いただき、毎年2回のペースで活動を続けてきました。やがて私はフェアトレードだけではなく、もう少し広い視点に立った考え方である「エシカル」について伝えたいと思い、2015年にフェアトレード・コンシェルジュ講座第1期生の卒業生2人とともに、エシカル協会を立ち上げました。

未来を担う世代にエシカルを伝えていきたい

―― エシカル協会の活動及び末吉さんご自身が、代表理事として担っておられる役割や活動についてお聞かせください。

「エシカルとは何か」「どうすればエシカル消費を生活に取り入れられるのか」といったことを一般の方に向けて伝えるのが私たちのミッションです。とはいえ「エシカル」という考え方には「なんとなく難しそう」というイメージもありますよね。

そこで私たちは「講座」と「お祭り」という2本の柱を通して、エシカルについて広く知ってもらおうと活動しています。講座は毎年2回、春と秋に「エシカル・コンシェルジュ講座」を開いています。そしてお祭りは毎年1回、5月の第2土曜日に「エシカルフェスタ」を開催しています。

こうした活動を通じて、多くの人がエシカルを身近な親しみやすいものとして感じることで、実践につなげられるよう心がけています。

2017年の「エシカル・コンシェルジュ講座」では、「国際環境NGO 350.org JAPAN」の古野真さん(代表)を講師として招きワークショップを行った。

写真提供:エシカル協会

2016年の「エシカルフェスタ」では、エシカルな企業のパイオニアである「株式会社HASUNA」の白木夏子さん(代表取締役社長)とトークショーを行った。

写真提供:エシカル協会

昨年からは、教育活動にも力を入れ始めました。10年、20年後の社会や消費の中心を担うであろう今の10代~20代前半の若い人に向け、授業などを通じて学校教育のなかでエシカル消費やエシカルの考え方を伝えています。

私自身も代表として、学校や「エシカル・コンシェルジュ講座」などで講師を務めさせていただいています。

昨年から学校での授業を通じたエシカルの普及・啓蒙にも力を入れている。

写真提供:エシカル協会

子どもって分かりやすく説明すると、とても素直に受け止めてくれるんですよ。例えばエシカルという言葉についても「こんな大切な言葉、初めて知りました」と言って、目を輝かせている子もいました。

次のページ:エシカル消費を今すぐ始めてみよう

RECOMMEND おすすめコンテンツRECOMMEND おすすめコンテンツ

このページの先頭へ