事業を通じた社会貢献超高齢社会に求められる新基準に対応した医療・介護施設の提案

社会的課題 超高齢社会における医療・介護施設の整備

医療機関の機能分化

日本の医療体制の課題の一つは、医療機関の機能分化が不十分であることです。入院医療については、急性期の患者と長期療養が必要な患者が混在し、人口あたりの病床数が多い半面、1床あたりの医療従事者数が少ないなど全体として広く薄い傾向が見られます。外来医療についても、大病院に患者が集中して待ち時間が長いなどの弊害が生じています。
このため、医療機関の機能分化を進め、患者個々の状態にふさわしい、良質かつ適切な医療を効果的・効率的に提供する体制を構築することが求められています。

地域に密着した包括的ケアの推進

超高齢社会が到来し、重度の要介護状態になっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを全うできる環境の整備が喫緊の課題となっています。そのような状況のなか、厚生労働省が中心となり、約800万人の「団塊の世代」が75歳以上となる2025年をめどに、地域において住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される包括的支援・サービス体制(地域包括ケアシステム)づくりが推し進められています。

大和ハウスグループの目指す未来 日本の医療・介護環境の整備・拡充を通じた超高齢社会への貢献

大和ハウス工業は、医療・介護施設を「人々の営みの場であり暮らしの場である」と考え、高齢者の方々が安心して穏やかに老後を過ごせる住環境を実現すべく、1989年という早期に専門の研究機関「シルバーエイジ研究所」を設立しました。以来、特に介護施設について「建物も介護(ケア)の一部」という理念とコンセプトのもとに研究を深め、その成果をさまざまな医療・介護施設の企画、設計に活かしています。

2014年度診療報酬改定への対応

厚生労働省では2年ごとに診療報酬基準を改定し、医療機関の機能分化を誘導しています。当社は、各医療機関が国の目指す「2025年モデル」を見据えて自院の方向性を見極め、早めの対策を打てるよう、適切なアドバイスに努めています。

病床の機能分化を促す新設の施設基準への対応

診療報酬基準の改定に伴い、病床の新区分に応じた施設基準が新設され、増改築時には新基準が適用されます。当社は、将来の基準変更にも備えた柔軟な設計をご提案しています。

構造設備基準

[基本方針] いま、医療・介護施設に求められるさまざまな視点に対応した商品・サービスを提供します。

医療・介護施設の経営課題を熟知し、建物の新築・移転・建替え時に求められるさまざまな視点のすべてに対応した商品・サービスを提供することが、医療・介護事業における当社の基本方針です。
専門とする高齢者の医療・介護施設分野において、理論と実践を融合させ、高度なノウハウを培ってきたシルバーエイジ研究所が中心となって、社会に有益な質の高い事業提案を行います。

  • 耐震改修促進法への対応
    改正耐震改修促進法で、一定規模以上の公共建築物は耐震診断結果を報告し、基準未満の場合は名称を公表されることに。多くの病院が早急の対応に迫られています。
  • 安心・安全の維持
    病院には災害時の稼働が強く求められます。地震への備えに加え、BCP(事業継続計画)にもとづく非常用発電機容量や食料・水の備蓄量などの見直しも、喫緊の課題です。
  • 快適性の提供
    各空間の快適さは、患者さまや医療に従事する方々にとって施設選びの大きな要素です。配慮の行き届いた設計は、職員の採用や定着率の向上にもつながります。
  • 環境への配慮
    昨今は、企業のみならず医療・介護施設にも環境への配慮が求められています。業務上の工夫だけでなく、建物にも、環境負荷低減への各種対応が必要となります。
  • 用地と建物への投資計画
    医療・介護施設は、銀行融資を受けにくかったり、賃貸での運営を望まれたりと、各々状況が異なります。用地と建物への投資計画の最適化を図らなければなりません。

[実践テーマ] 「安心・安全」「快適」「環境」「事業化支援」を柱とした次世代対応型医療施設の提案を推進しています。

医療・介護施設を取り巻く環境は、今後も激しく変化していくと予想されます。これからの時代に“選ばれ続ける医療・介護施設”であるためには、変化への対応が欠かせません。
当社グループは、シルバーエイジ研究所が持つ、シンクタンクとしての豊富な実績、優れた研究・調査力と、医療・介護施設の支援経験を活かし、次世代対応型の施設を探求。医療・介護施設に課された使命や課題を踏まえて、「安心・安全」「快適」「環境」「事業化支援」の4つのコンセプトを柱に、「D's SMART MEDICAL」をご提案しています。

非常時にも有効な安心・安全への備え

多くの病院が早急な対応を迫られている耐震化に加え、BCP対策や感染防止対策、セキュリティシステムなど、幅広い視点で、安心・安全への備えをご提案。平常時も非常時も安心・安全な病院を目指します。

院内環境を快適にととのえ、患者さま、職員の満足に貢献

患者さまに選ばれる医療施設となるために、また、職員の採用や定着率の向上のためにも欠かせない、快適な院内環境をつくります。建物の可変性・更新性に配慮して、将来の社会環境の変化にも対応します。

長期的視点でエネルギーコストを削減

エネルギー“ゼロ”のビルづくりへの挑戦で培ってきた省エネ・創エネ・蓄エネの最新アイテムとスマートマネジメントで、環境負荷低減にも貢献できる、エネルギーコストの削減をご提案します。

用地や建物の投資計画をサポート

豊富な情報ネットワークを活かした移転や新築の適地紹介から移転跡地の有効利用、医療型ファンドを活用した自己資金不要の事業スキームのご提案まで、当社グループならではの事業化支援を行います。

日本の高齢社会と介護のさまざまな問題を考える、大和ハウス工業シルバーエイジ研究所。医療・介護施設に関わる問題を専門的に調査・分析する研究機関です。

シルバーエイジ研究所では、当社のDNAの一つである現場主義にもとづき、現場で得たノウハウと理論を融合させ、社会に有益な質の高い事業提案を行っています。そこには、「環境・安全と健康・バリアフリー・省エネ」という理念があります。最新の動向を踏まえつつ、医療・介護事業の企画・運営・資金に関するご相談から開設までを、トータルにサポートしています。

事例紹介

資金調達から設計基準変更への対応までトータルに支援し、医療法人と共に創る次世代医療施設
「医療法人 森と海 メンタルホスピタル かまくら山」(神奈川県鎌倉市)

多くの病院で耐震化整備や次世代医療への対応が急務となる一方、国の補助や既存の融資は行き渡りにくく、建替え資金の調達も大きな課題となっています。「メンタルホスピタル かまくら山」は、まさにそうした課題に直面された医療機関のひとつです。老朽化に伴い建替えが必須となりながら、諸般の事情で資金の調達が暗礁に乗り上げてしまったのです。これを知った大和ハウス工業は、開発特化型ファンドを事業化支援の一手段として活用する、初の事例とすることを決断。自ら建設を担い、資金調達から設計基準変更への対応に至るまでトータルな支援を展開しました。この結果、長い歴史を持つ精神科病院は、地域のこれからに欠かせない安心・安全で快適な先進のメンタルホスピタルとして、新たな一歩を踏み出されました。

建替えにより、「病床機能の分化」や「地域包括ケア」への貢献など、これからの医療への対応も実現させた、医療法人森と海「メンタルホスピタル かまくら山」。

院内を歩き回られる患者さまのため、廊下の随所に休息スペースを設置。曲線を用いて、優しい印象に仕上げています。

廊下の突き当たりには、休憩用ソファを設置。壁面から離して動線を確保し、施設内を自由に回遊できる感覚を大切にしています。

患者さまに安心感を持っていただくため、廊下などの共有スペースも落ち着いた色合いを取り入れています。

シンプルかつ色合いにこだわった病室。患者さまに落ち着いた入院生活を送っていただけるよう、配慮されています。

東日本大震災で暗礁に乗り上げた建替え計画ヘルスケア・ホスピタルファンドの決断

「メンタルホスピタル かまくら山」では、地鎮祭翌日に東日本大震災が発生し、復興支援のため国の補助金が中止されて建替え工事が中断。理事長・常任理事ご夫妻は暗中模索の末、当社も出資する開発特化型ヘルスケア・ホスピタルファンドの存在を知り、その活用を希望されました。建設を担う当社にとっては中断工事を引き継ぐ異例の案件でしたが、ご夫妻とファンドを組成する会社との三者面談でご夫妻の地域医療への熱意に共感し、出資が決定しました。

旧施設での診察を継続しながら丘陵斜面で進められた難工事

工事は、同じ敷地内に建つ旧施設での診療を継続しながら進められました。丘陵斜面というだけで難易度が高くなっている工事に、さらにさまざまな制約が加わり、現場は日々緊張の連続でした。それでも懸命の努力で目標の2013年12月に竣工。1日の休院もなく建替えを完了しました。新生の「メンタルホスピタル かまくら山」では、かつて苦労されていた職員の採用もスムースになり、認知症治療の体制を強化するなど地域医療への貢献度も高めておられます。

開発特化型ヘルスケア・ホスピタルファンド

ACA株式会社が組成する開発特化型ファンドです。病院への出資の決定には、既存事業の与信や不動産担保価値だけでなく、事業計画の収益性と実現性が重視されます。案件ごとにACAが特定目的会社(TMK)を設立し、TMKが同ファンドや金融機関の出資を受けて病院運営者様の希望される建物を建設し、賃貸します。当社はTMKから建物の建設を請け負います。

お客さまの声

これからの医療を目指す医療機関の方々にぜひ伝えたいトータルサポートの存在

大和ハウス工業は、「認知症治療や急性期治療に力を注ぎ、訪問診療も充実させて、地域に根差した医療活動を展開したい」という私たちの願いを汲んで出資を決め、当初計画で私たちが発注していた建設会社が建設に参加できる体制まで整えてくれました。医療や介護に詳しく何事も対応が的確なので、竣工後もブレーン役を担ってもらい、よりきめ細かく医療や介護の地域ニーズに応えるための新施設をご提案いただくなど、今やすっかりファミリーです。事業には夢を追うだけでなく専門家の声を組み込むことが大事だということも実感しました。医療の未来を思い描きながら踏み出せずにいる医療機関の方々に、このようなサポートの存在をぜひお伝えしたいと思います。

医療法人 森と海
メンタルホスピタル かまくら山
常任理事 黒田 美香様

担当者の声

誇りと自信につながった患者さまにとって価値ある医療環境の実現

丘陵斜面にRC造で地上1階地下2階の病棟を建てるのは難工事です。今回は、患者さまのために1日も医療を途切れさせないよう、まず新病棟を建て引越し後に旧病棟を解体する課題も背負っていました。丘の上の狭い一本道で、資材は通学時間などに配慮しつつ細分化して搬入するしかありません。お客さまとの付き合いが長く、工事に協力いただいていた建設会社の資材・人財確保に支障が出るというトラブルも発生しました。現場所長を中心に、こうした状況のなか、業務に粘り強く取り組み、目標通りに全日程を終えることができました。患者さまの新病棟への移転もスムースで、環境変化の悪影響も見られず、むしろ病状が安定していると聞いて、心からうれしく思っています。

横浜支社 建築事業部 事業部長(当時)
現 名古屋支社 建築事業部
営業部長 古家 英俊

担当者の声

常に勉強、共に勉強。さらに充実させていきたいソフト面での病院支援

病院の社会的使命は大きく、その建替えも社会的に重要ですが、病院経営の知識を持った出資者は皆無に近く、支援するファンドもほとんど前例がありません。そんななか、私たちシルバーエイジ研究所は、社内を説得し賛同を得て、ファンドによる建替え支援を実現することができました。これ自体、他社にはないノウハウです。初の事例であるうえに中断工事を引き継ぐという異例の状況が重なり、困難の連続でしたが、開発特化型ファンドという病院支援のスキームを確立することができました。今後も先生方との会話を通じ、常に勉強、共に勉強。ファンドに限らず先生方の新たなご発見につながるようなソフト面の支援を、より充実させていきたいと考えています。

建築事業推進部 営業統括部
シルバーエイジ研究所
課長 泊口 明久


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