宮城県・東松島市「小松谷地地区災害公営住宅(小松南住宅)」仮設住宅から公営住宅へ-被災地の人々・行政と共に歩む復興支援

東日本大震災から3年。まだ多くの人が仮設住宅に暮らしておられます。元の生活に戻りたいという切実な願いを受け、自治体も懸命の努力を続けていますが、用地確保は困難を極め、公営住宅の建設は容易でありません。そのようななか、震災後、早い段階から取り組んできた一つの建設事例があります。大和ハウス工業から東松島市への提案をきっかけに計画がスタートした本物件が、この春、入居者を迎えました。

2014年3月に東松島市に引き渡された小松谷地地区災害公営住宅(小松南住宅)〈3階建・12棟・156戸〉

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一刻も早い復興への思いが動かした異例のプロジェクト

当公営住宅の敷地は、震災前に流通店舗事業部が11名の土地オーナーさまとイオンタウン株式会社様の間に立ち大型商業施設建設計画をとりまとめ、既に造成を終えていた土地でした。津波を免れたこの土地を、事業部の垣根を超え住宅事業部が引き継ぎ、全国でも先駆的な軽量鉄骨造の災害公営住宅を実現させました。
始まりは、当社の仙台支社長が三陸自動車道を通る度に見えるその土地を復興に活かしたいと考えたことでした。市長訪問をきっかけに検討が始まり、行政の担当者、イオンタウン(株)、地権者、県、市議会などすべての人が思いを一つに多数の難関を突破。これまでにない工法による計画が、異例の速さで認可されました。

多くの人々が待つ仮設住宅からの転居。小松南住宅に近い鷹来の森運動公園応急仮設住宅からは、9世帯22名の方々が転居されました。

東松島市では全家屋のうち75%が浸水。97%が全壊から一部損壊まで何らかの被害を受けました。(写真提供:東松島市)

求められたスピードと高規格を支えた10ヵ月延べ20,619名の熱意

公営の集合住宅は通常RC造※。しかし災害復興を目的とした今回のプロジェクトでは、当社「xevo 03+R」をベースとした軽量鉄骨造での建設が認可され、短工期かつ高性能という工業化住宅の特長を発揮しました。さらに全国から集まった延べ20,619名の職方さんたちの熱意で、従来なら最速で1年半がかりとされる規模の施工を10ヵ月でやり遂げました。
独居高齢者のため1LDKはエレベータ近くに配置、防音対策の一層の徹底など、市による被災者の立場に立った配慮に加え、当社住宅事業部が持つ外構植栽計画のノウハウも実施設計に盛り込まれました。小松谷地でのこうした取り組みは、公営住宅計画に特化した復興支援室の設立により可能となりました。

※RC造:鉄筋コンクリート構造(Reinforced-Concrete)

人々が暮らし始めた小松南住宅。
商業施設イオンタウンの北側に位置し、インターチェンジに隣接、小・中学校も近いという、恵まれた立地にあります。

安心して新しい暮らしを始めていただけるよう、従来の公営住宅の枠にとらわれず、恒久住宅らしい落ち着き、開放感、季節感のある緑の潤いなどを大切にしました。

交流が芽生える環境づくりを目指し、自然に人が集う仕掛けも随所に。

外構植栽は、戸建の街づくりで培ったノウハウが活かされています。

住宅とは別棟で、3.0kWの太陽光発電パネルを備えた集会所も設けました。

見やすく美しい案内板など、隅々まできめ細かな配慮が生きています。

学んだ経験・ノウハウを復興支援のこれからに素早く活かすために

小松南住宅の取り組みは、その後の災害公営住宅の建設に大きく役立てられました。民間企業が土地を得て建物を建て、行政がそれを買い取るという今までにない新スキームも、被災地での住宅供給を加速しています。スピーディかつ高い品質を実現した手法に、被災地以外からも注目されており、現在、パイオニアとして貢献を続けています。今後も一刻も早く、被災された人々が日常を取り戻していただけるよう、復興支援のお役に立つ提案・建築を推進していきます。

災害公営住宅で新しい生活を始める人々にとって、近隣との交流はとても大切です。小松南住宅ではコミュニティづくりにおいても、パーゴラ・ベンチを歩行者専用道に設置するなど、さまざまな工夫が凝らされました。

担当者の声

被災者の方々の切実な願いを前に 皆が一つになることができました。

人も資材も不足するなか、職方さんや購買部などの協力に支えられました。なかでも特筆すべきは、全国から集まってくれた職方さんたちの努力です。毎日現場で期待を上回る力を発揮し、予定を守り抜いてくれました。行政の認可も驚くほどスピーディで、関係者全員が仮設住宅で暮らす人々に一日も早くいい家をと願い、最善を尽くしていることを実感。メーカー担当者としての責任感を新たにしました。軽量鉄骨造として初の公営住宅への取り組みであったため、防音やメンテナンス面での行政規格の対応など、今後に向けても多くのことを学ぶことができました。

仙台支社 住宅事業部 復興住宅工事課 課長 梁川 正己(左)
仙台支社 流通店舗事業部 営業課 上席主任 草薙 伸宏(右)

東松島市役所・建設部ご担当者さまの声

復興に欠かせないスピード感を民間企業が吹き込んでくれました。

災害公営住宅の用地探しは難しく、被災者の方々の希望に少しでも沿えるよう努力を続けています。小松南住宅の場合は仮設住宅も未完の時期に協力を申し出てもらい、土地も含めて建物を買い取るという整備手法を用いた最初にして最大規模の事例となりました。入居される方々のご苦労を考え、居室の照明器具を最初からセットし、トイレは温水洗浄便座とするなど、通常にない配慮も組み込みました。行政主導ではこれだけの規模の事業をこれほど短期間には完遂できません。復興支援を進めるうえで民間企業のスピード感はこれからも欠かせないと考えています。

建設課復興住宅班 主任
木村 薫様

建設課復興住宅班 班長(当時)
現・市民生活部税務課長
千葉 重正様

建設課建築営繕班 班長(当時)
現・教育委員会 教育総務課長
吉田 悦郎様

お客さまの声

広く明るい暮らしが戻ってきて、90歳になる母も早起きになりました。

3年ぶりに広く明るい暮らしが戻ってきました。部屋が広いと気持ちまで広々します。上下左右に住戸があるのに何の物音も聞こえないことも喜びです。今年90歳になる母も、そんな環境だからでしょうか、シャキッと早起きするようになりました。集会所もあり、今後は自治会での交流が楽しみです。しばらくは定期的に住み心地や問題点を聞いてもらい、それをこれからの災害公営住宅づくりに素早く活かしてもらえればうれしいですね。

小松南住宅ご入居
菅原 司様


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