大和ハウス工業株式会社

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環境配慮型商品/事例

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環境配慮型オフィス「大和ハウス佐賀ビル」電力を自給できるオフィス

電力を自給できるオフィス

2018年2月より再生可能エネルギーによる電力自給の実証実験を行っている「大和ハウス佐賀ビル」を紹介します。
この取り組みが評価され、2018年11月「第1回エコプロアワード」(主催:一般社団法人産業環境管理協会)にて、「国土交通大臣賞」を受賞しました。

EcoPro Awards

EP100、RE100を具現化したオフィスビル

大和ハウスグループは、2018年3月、エネルギー効率の向上および再生可能エネルギーの利用推進に向けて、国際イニシアチブ「EP100」と「RE100」に加盟しました。
大和ハウス佐賀ビルは、自然換気や井水、太陽熱を活用した空調システム、自然光を活用した照明など、徹底した省エネを行い、約52%の電力使用量を削減できます。さらに、屋上に設置した太陽光発電システムと蓄電池を連携させた「電力自立システム」を導入し、営業中に使用する電力の自給を目指しています。
これらの取り組みにより、当ビルは、 「EP100」と「RE100」の両イニシアチブの目指す姿を具現化した建物となっています。

RE100

「EP100」は、エネルギー効率の高い技術や取り組みの導入を通じて、事業のエネルギー効率を倍増することを目標に掲げる企業連合。

EP100

「RE100」は、事業運営に要する電力を100%再生可能エネルギーで調達することを目標に掲げる企業連合。

災害などによる停電時でも稼働

大和ハウス佐賀ビルの計画中に、熊本地震が発生。当社の熊本支店(現在の熊本支社)が停電により十分な営業ができない事態に陥りました。それを受け、電力の供給が得られない状況でも事業継続が十分に可能なオフィスの必要性を感じ、大和ハウス佐賀ビルを、電力自給オフィスの実証実験棟として建設することになりました。
一般に停電により商用電源の交流電流がなくなると、通常のパワコンは機能できなくなります。佐賀ビルでは、太陽光発電と蓄電池を直流回路でつなぎ、商用電源を直流変換し直流回路に流して受電するという独自の方式を採用。停電時でも自立して運用できるように設計しています。

大和ハウス佐賀ビル

大和ハウス佐賀ビル

■建物概要

建設地
佐賀県佐賀市成章町6番5号
構造・規模
鉄骨造2階建て
敷地面積
5,556.33㎡
建築面積
1,252.60㎡
延床面積
2,444.57㎡
高さ
最高10.950m(軒高8.835m)

■補助金の利用

平成29年度 ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)実証事業(経済産業省)

設備概要

佐賀ビル概略図

佐賀ビル概略図

電力自立システム

これらのシステムにより、電力の自給を可能にしています。

佐賀ビル紹介映像(5分)

電力自給オフィスの内部

この建物は、平成28年省エネルギー基準の建物と比較して、約52%も電力を削減しています。しかし、中で働く従業員は以前の建物と比べても、室内の明るさや室温に問題はなく、省エネのために我慢はしていないと言います。実際に取材を行った日は曇りでしたが、廊下や執務室は自然光が取り込まれて明るく、窓上の自然換気用窓から抜ける風により、快適な室温に調整されていました。

自然光を取り入れる、天井の光ダクト。手前と奥の二カ所に配置され、人の有無、照度により補助用照明が自動消灯されている。

社内の打ち合わせスペース。室内外の気温、湿度を測定し、室外の方が快適になると担当者にお知らせが届き、上部の換気用窓を開け、風を通す。

窓から取り込んだ自然光を採光ブラインドや天井、壁の反射率の高い採光クロスにより、室内の奥まで届かせている。

外からの視線は遮り、光を室内に柔らかく通し拡散させる採光ブラインド。

実証実験の内容

設備や設計技法により、理論上の削減効果を算出しましたが、実際にその効果を得られているかを検証しています。実際に得られたデータを分析することで、より現実に則した設備配置とすることが可能になります。今回の検証では、佐賀ビルに搭載した83.2kWの太陽光発電は、独自の電力変換システムにより、電力損失が予想以上に抑えられ、実際には、100kW近い発電能力があることがわかりました。そのため、余剰電力が蓄電池に収まりきらなくなり、実験半ばで蓄電池を75kWhから105kWhに増設するという設計変更も行っています。

BEMSデータなどを利用して、ZEBの達成状況を確認。

⇒設計値と実測値に著しい差異が生じた場合は、その原因を分析し対策を立案する。

ZEB達成 目標と実績の比較(イメージ)

ZEB達成 目標と実績の比較(イメージ)

電力自立システムの太陽光発電と蓄電池の最適容量をモデル化。

⇒運用時の課題を把握し対策を立案する。

発電量・蓄電量・放電終了時刻の分析(イメージ)

発電量・蓄電量・放電終了時刻の分析(イメージ)

井水/太陽熱ハイブリッド空調システムの省エネ効果検証

⇒冷房期・暖房期・中間期・通常換気での省エネ効果を評価する。

自然換気システムの効果検証

⇒換気回数の検証

今後の展開

佐賀市は夏の平均気温が常に全国上位にランクインされるほどの猛暑で知られますが、一転して、冬は日本海から吹きつける冷たい風にさらされます。寒暖差が大きい佐賀の気候環境下での実証実験で得られたノウハウは、多様な環境下で活かせることになります。
また、佐賀ビルでは、空調エネルギーとして豊富な井水を活用しましたが、地域によって、川や湖、温泉、地熱などの自然エネルギーのほか、工場の排熱や下水熱等を熱源とすることもできます。残る課題は、機器の小型化と低価格化。しかし、これも普及が進めばやがて解消していきます。電力自給オフィスは、国内での展開はもちろん、電力普及が遅れる途上国での展開も視野に入ってきます。

佐賀支店 支店長 森川 恭治

電力自給オフィスは脱炭素に向けたRE100の実現とBCP(非常時のエネルギー確保)対策を実現することができます。同時に電力インフラが未整備の地域でも展開でき、地域社会にも貢献できる未来の建築モデルです。
実証実験を通じて初めて見つかる課題もありますが、一つずつ改善し、得られた成果を自社施設へ水平展開していきます。
また、ショールームとしても活用し、お客様への環境配慮型施設の提案・普及を加速させ、仕事を通じて社会に貢献していきます。

佐賀支店 支店長 森川 恭治

佐賀支店 経理課 課長 田代 大介

これまでのオフィスビルと比較して電力使用量を大きく削減できるという計画でしたので、社員の省エネ努力もかなり必要なのではないかと心配していましたが、居住快適性を我慢しなければならないということもなく、電力削減が図れていることに驚きました。
執務室内の社員が見える場所に電力自給の状況を見える化したモニターを設置し、「もう少しで100%自給できそうだから不要な電気を消そう」というような、社員全員が自発的に省エネに取り組む雰囲気が自然と生まれ、環境配慮の意識向上にもつながっています。

佐賀支店 経理課 課長 田代 大介

開発担当の声

佐賀ビルが他の環境配慮ビルと大きく違う点は『災害に対して強い』ということです。商業電力から自立する仕組みはもちろん、太陽光発電の設置容量を出来るだけ抑えるためにZEB化し、さらに空調熱源を再生可能エネルギーに求め、大幅なピーク電力を抑制することで実現できました。
佐賀ビルのオープン以降、講演や取材等が増え、反響の大きさを実感しています。今後は実証実験で得られたノウハウを蓄積し、電力自給オフィスの普及につなげていきたいと考えています。

本社 企画開発部 主任 谷口 和紀

本社 企画開発部 主任
谷口 和紀

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